SNS運用代行の提案書と見積書は、先に「目的・成果物・担当・確認方法」をそろえてから作ると、相手が依頼範囲と費用を判断しやすくなります。提案書は取り組む理由と進め方、見積書は作業量と金額・条件を伝える書類として分けて整理しましょう。
この記事では、初めて提案する人が自分の案件に書き換えられる記入項目と、小規模な運用支援の架空例を紹介します。受注や集客効果を保証するテンプレートではありません。実績がなくても、できる作業と確認の手順を具体的に示せます。
提案書・見積書・契約書の役割を分ける
提案書で「なぜ・何をするか」、見積書で「どこまで・いくらで行うか」を伝え、合意した取引条件を契約書や発注書などに残します。書類の名前だけで合意や法的な効力が決まるわけではなく、内容とやり取りの確認が必要です。
| 書類 | 読者が判断すること |
|---|---|
| 提案書 | 課題と目的、施策、進め方が合うか |
| 見積書 | 成果物・作業量・費用・条件が合うか |
| 契約書・発注書等 | 合意した範囲、責任、納期、支払条件 |
「Instagram運用一式」だけでは、撮影、文章、投稿、DM対応、広告出稿まで含むか分かりません。依頼者が比較できる単位へ分けることが、3つの書類をつなぐ出発点です。
作成前のヒアリングで確認する6項目
書き始める前に、目的、対象者、媒体、素材、担当、予算と期間を確認します。分からない点は断定して埋めず、「初回打ち合わせで確認」と区別すると、提案の前提が伝わります。
- 目的:問い合わせ、来店案内、採用情報の理解など、何につなげたいか
- 対象者:誰のどんな疑問に答えるか
- 対象媒体:運用するアカウントと現状の公開範囲
- 素材:写真・動画・商品情報を誰が用意し、利用許諾を確認するか
- 担当:原稿確認、公開承認、問い合わせ・トラブル対応の窓口
- 条件:試行期間、予算、納品形式、既存の運用・外注との分担
たとえば「投稿を増やしたい」という相談なら、増やす理由を確認します。問い合わせ対応が追いついていないのに投稿数だけを増やす提案では、目的と作業が離れてしまいます。閲覧できない分析値を推測し、改善率を約束する必要はありません。
SNS運用代行の提案書に入れる項目
提案書は、相手が「自社で進められるか」を判断できる順番にします。現状の事実と仮説を分け、目的から施策、確認方法までつながる構成にすると読みやすくなります。
1. 現状と課題を事実・仮説に分ける
公開ページで確認できた事実と、追加確認が必要な仮説を別に書きます。「プロフィールに問い合わせ先が見当たらない」は観察、「そのため問い合わせが少ない」は検証が必要な仮説です。
競合の数字をそのまま目標にせず、依頼者が許可した管理画面や既存レポートから基準を確認します。数字がない段階では「問い合わせ先へ迷わず進めるか」など、確認できる条件を置きましょう。
2. 目的と成果物を対応させる
目的に対して、どんな成果物を作るかを一対一で示します。新商品の使い方を伝えるなら説明投稿、相談前の疑問を減らすなら質問への回答をまとめるなど、内容を具体化します。
「認知拡大」だけで終えず、対象者が投稿を読んだ後に知ってほしいこと、次に選べる行動まで書きます。フォロワー増加や売上額を成果物のように保証しません。
3. 制作・承認・公開・振り返りの流れを示す
誰がいつ判断するかを書けば、公開前の手戻りを減らしやすくなります。企画提出、素材受領、初稿、依頼者確認、修正、承認、公開、報告の順に担当と期限を添えます。
承認が遅れた場合の扱いも、最初に相談しておきましょう。返信がないことを自動承認とみなさず、日程を再調整する窓口を決めます。投稿権限の付与は、サービスの正規機能で必要な範囲を確認して行います。

見積書は作業単位と前提条件で組み立てる
見積書には、作業内容、数量、単位、単価、金額と、その金額で対応する前提を記載します。相場に合わせるだけでなく、確認・修正・報告にかかる時間も見込んで組み立てましょう。
| 項目 | 書く内容の例 |
|---|---|
| 宛先・発行者 | 正式名称、連絡先、発行日、見積番号 |
| 対象 | 媒体、アカウント、対象期間 |
| 内訳 | 企画、文章、画像、投稿作業、報告など |
| 金額 | 数量×単価、小計、税の扱い、合計 |
| 条件 | 有効期限、納期、支払期日・方法、追加作業 |
計算の基本は「見込む総作業時間×自分が設定する時間単価+必要な直接費」です。これは価格を検討するための式で、業界相場ではありません。プラットフォームを使う場合は現行手数料と受取見込み額も確認します。消費税や請求書の表記は、自身の登録・課税状況に合わせて確認してください。
書き換えて使える業務範囲と見積りの例
次の例は、依頼者が提供する素材で紹介投稿を制作する架空の小規模案件です。本数や修正回数は推奨値ではなく、話し合う項目を見えるようにするための設定です。
目的:既存のサービス内容と相談方法を分かりやすく伝える。
対象:指定されたInstagramアカウント1件、合意した試行期間。
制作物:フィード投稿4件、各投稿の画像と文章。素材・事実確認資料は依頼者が提供。
確認:担当者1名がコメントをまとめ、各初稿について修正1回。
公開:依頼者が承認した原稿を、合意した担当者が公開。
報告:期間終了後、確認可能な表示・プロフィール行動などと次の改善案を整理。
対象外:現地撮影、動画、広告出稿、個別DM対応、休日の緊急対応。
見積りの内訳は「企画4件×[単価]」「画像・文章制作4件×[単価]」「打ち合わせ・進行管理1式×[単価]」「報告1回×[単価]」のように空欄へ自分の条件を入れます。同じ作業時間を複数項目へ重複計上しないよう、何を含むかも確認します。
「投稿4件に加え動画も作ってほしい」という相談には、元の見積りへ黙って含めず、制作形式と納期を確認して追加見積りを出します。元の依頼内容と違う修正、新しい素材への全面差し替え、追加会議も、対応前に範囲と費用を合意します。
契約前に修正・権利・支払いを照合する
提出前には、提案書の約束と見積書の範囲が一致するかを確認します。修正回数だけでなく、素材の権利、公開判断、データの扱い、支払いまで合意できる形に整えます。
- 依頼者の誤記訂正と、当初範囲を変える追加依頼をどう区別するか
- 写真・音楽・フォント・制作物の利用範囲、編集データの納品有無
- 実績掲載の可否と、公開できない顧客情報・分析データ
- AIを使う場合の可否、入力してよい情報、人が確認する工程
- キャンセル、日程変更、緊急時の連絡、引継ぎ方法
- 検収の方法・期日、報酬額、支払期日と方法
フリーランス法の対象となる取引では、発注時の条件明示などを確認する必要があります。対象や義務は取引の状況によって異なるため、公正取引委員会の公式案内と公式Q&Aを参照し、口頭の相談だけで制作を始めず、双方で条件を読み合わせましょう。
最初は一つの提案を完成させる
まずは実際に対応できる範囲で提案書1件と見積書1件を作り、目的・成果物・金額・担当・期限が一致するかを点検しましょう。見本の場合は架空の練習用と明示し、実案件の実績と混同しないことが大切です。
受注までの準備が必要ならSNS運用代行の副業の始め方、依頼者側の募集条件を知りたいならショート動画を外注する募集方法が参考になります。運用の試行錯誤はtajiのnoteでも紹介しています。必要な工程から一つずつ整えていきましょう。
